

夏休みが終わり、新学期が既に始まりましたね。親としては長期連休のバタバタした日々から解放され、少しホッとした気持ちになります。子供としては休みが明け、学校のお友達や先生に会えるのを楽しみな気持ちがある一方で、毎日授業が始まる面倒さでしばらくは「学校に行きたくない!」と愚図りだす子供がいるご家庭もあるのではないでしょうか。
「朝になると、子どもが学校に行きたくないと言い出した」「玄関まで行ったのに、泣いて動かなくなってしまった」親としては「怠け」と捉えてしまうと同時に、やはり気になるのが仕事への影響。 「急な休みを取るのは難しい」「職場にどう説明すればいい?」「夫婦のどちらが対応する?」といった現実的な問題がのしかかってきます。ただ、その言葉を単なるわがままと片付けてしまう前に、一度立ち止まって子どもの気持ちに目を向けてみることも大切です。もしかするとそれは、不登校につながるSOSのサインかもしれません。
「学校に行きたくない」は、子どもからのサインかも
急に登校渋りが始まると「今までは毎日楽しく通っていたのに、休み明けでワガママになった?」「とりあえず学校に行って、それでもダメなら早退したら?」と言いたくなってしまいますよね。なんの前触れもなく急に言いだされると、ただの「怠け」としか感じられないことがほとんどではないでしょうか。しかし登校渋りにはたくさんの背景が考えられるのです。たとえば
・友人関係への不安
・勉強への不安
・先生や教室への苦手意識
・夏休み中に変化した生活リズム
・学校行事へのプレッシャー
・疲れやストレス
・家庭や学校以外の環境の変化
など、単純に「怠けている」だけでなく、さまざまな可能性が考えられます。原則として年間30日以上欠席した児童生徒を「不登校児童生徒」と指しますが、文部科学省は不登校について「取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得るもの」としています。そのため数日経っても登校渋りがみられる場合「どうやって学校に行かせるか」だけに集中するのではなく「子供は何につらさを感じているのか」を改めてきちんと知ることが第一歩になります。この子供が何につらさを感じているのかを把握することは、簡単そうに思えて中々頭を悩ませる問題ではあります。なぜなら子供自身、うまく言葉にして伝えることが難しい場合が多いからです。
親が最初にすることは「休む理由を証明させること」ではない
働く親にとって、朝はただでさえ時間との戦いです。子どもが「行きたくない」と言ったときは、親としてはどうしても理由が知りたくなりますよね。学校に行かせるための説得を早々に始めたいところではありますが、まず親の対応としては「学校へ行くことをすぐ決めなくていいよ。まず、どんな感じなのか一緒に考えよう」「理由がうまく言えなくても大丈夫だよ」「体がつらいのか、学校で心配なことがあるのか、話せるところだけ教えてね」と伝えてあげること。避けたいのは「みんな行っている」「休むと癖になる」「理由を言わないなら行きなさい」といった対応です。親に悪意がなくても、子どもが「分かってもらえない」と感じ、困りごとを隠す場合があります。そして最終的にその日の登校をどうするかは、安全と体調を見て判断しましょう。休ませる場合も、完全に放置するのではなく、食事、睡眠、痛み、表情、本人の言葉を簡単に記録しておきましょう。この記録は万が一、学校や医療機関へ相談するときに役立ちます。

働く親が直面する 「仕事どうする?」 問題
登校渋りが1日で解消されれば問題ありませんが、数日~長期化する兆しがある場合、大きな問題になるのが仕事です。
「仕事を休めないから、無理に行かせる」は避けたいところではありますが「大事な会議がある」「繁忙期だから抜けられない」など働かなければ生活していけませんし、親にも都合があります。しかし、子どもの気持ちを無視して登校させることも、反対に親が仕事をすべて犠牲にして抱え込むことも、長期的には家庭を疲弊させる可能性があります。
どうすれば…?
【1】夫婦で「朝の対応ルール」を決めておく
共働き家庭の場合、子どもの登校渋りが始まったら、夫婦であらかじめ対応を決めておくと負担が軽くなります。毎朝「今日どっちが休む?」と話し合うより、ある程度「月・水はパパが対応」「火・木はママが対応」「金曜日は状況を見て交代」などルールを決めておいたほうが、親同士の衝突も減ります。他にも
・学校への連絡は誰がするか
・担任との面談は誰が参加するか
・子どもの相談窓口を誰が調べるか
・仕事の調整はどちらが行うか
・子どもの状態を夫婦でどう共有するか
なども細かく決めておくとよいでしょう。こういった細かな事項はどうしても母親に負担が偏りがちです。大切なのは、「母親が対応するもの」と決めつけないこと。子どもの問題と仕事の問題を、親一人で同時に解決しようとするのではなく、両親が協力をして子どもの対応する「家庭の共同プロジェクト」として考えてみてください。
【2】上司や人事に早めに相談
登校渋りが続くと、仕事を休んだり、遅刻・早退したりする機会が増える可能性がありますよね。職場への説明の際、家庭の事情を事細かに話す必要はありませんが「毎朝いつ休むかわからない」という状態よりも、上司や人事に早めに相談しておくことで、仕事の調整がしやすくなることがあります。また時差出勤、フレックスタイム、子どもの状況に応じた一時的な勤務時間変更など、自分の会社で利用できる制度を確認しておくと良いかもしれません。
「親子だけで抱えない状態」をつくる
休みが数日続きのであれば早い段階で、まず学校と事態を共有しましょう。「学校に行けていないこと」だけではなく、本人の言葉を簡単に記録したメモを伝えるなどして、状況を伝えてください。また、親も焦りや疲れでまとまりがない伝達になってしまう場合もあるので、以下の内容を頭の中で整理しておくと「これも伝えておきたかった…」ということがないので安心です。
・登校しぶりが始まった時期
・腹痛、睡眠、食欲などの変化
・子どもが話した内容
・いじめや人間関係への心配
・本人が負担に感じている場面
・当面の連絡方法と、利用できる支援の確認
など、家庭での様子を具体的に伝えます。また、相談先は担任だけに限るだけでなく多方面に支援の輪を広げていきましょう。
親は一人で抱え込まず、第三者と話す
「家庭の問題は家庭で解決する」「不登校の子供がいるなんて周りに知られたくない」など親は塞ぎこみになりがちです。しかし同じ経験や境遇など第三者と話すことによって、「自分だけがうまくできていない」という感覚から抜け出すことが大切です。
1.学校に相談する
担任もしくは養護教諭、学年主任など。
2.自治体の支援を調べる
・〇〇(自治体名)␣不登校もしくは登校渋りで検索すれば、各自治体の支援が検索できます。
・文部科学省では地域の相談支援機関等に関する情報をまとめまた「不登校に関する地元の相談窓口」を検索できるサイトもあるので自分の住んでいる地域の相談窓口を探す入口として活用できます。

「行く・休む」の二択にしない
「学校に行くか、休むか」登校渋りが起きると、どうしてもこの二択で考えてしまいがちですよね。そして休ませる場合「不安定な子供を家で留守番させるのは不安…」と感じ、親も必然的に仕事を休まなければなりません。しかし、実際にはその間にさまざまな選択肢があります。例えば
・遅刻して登校する
・親が学校まで付き添う
・保健室や別室からスタートする
・好きな教科だけ参加する
・オンライン授業を利用する
・教育支援センターを利用する
・フリースクールなど学校以外の学びを検討する
なども検討し「子どもが学校に行けるようになるまで、親が仕事を休む」という一つの方法だけに頼らないことが大切です。そして登校渋りの時期、親の心情は
「今日は行ってくれた!」
「今日は行けなかった…」
と、毎日の登校結果に一喜一憂してしまいます。しかし子どもにとっては、
「朝起きられた」
「制服を着られた」
「学校まで行ってみた」
「先生と話せた」
などが大きな一歩かもしれません。文部科学省の不登校支援も、単純に「学校へ戻す」ことだけを目的とするのではなく、子どもの意思を尊重しながら社会的自立につなげていくという考え方が基本になっています。親も「今日は学校に行けたか」だけではなく「昨日より少し安心できているか」という視点を持ってみましょう。
親自身が「相談する」ことも子どもの支援
「行く・休む」の二択にしない為には、支援の輪を広げ「親が頑張り続ける」ことをゴールにしないことが大切です。そのため、主に以下のような支援があります。
教育支援センター
学校外で相談、学習支援、居場所の提供などを行う公的機関です。利用対象、開室日、送迎、オンライン対応は自治体ごとに異なります。
スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー
スクールカウンセラーは心理面の相談、スクールソーシャルワーカーは家庭・福祉・医療などとの連携を主に支援します。子ども本人が相談を拒んでいても、保護者だけでも相談できます。
自宅や学校外での学習
学校外の公的機関や民間施設、自宅でのICT学習が、一定の条件のもとで出席扱いや成績評価につながる場合があります。自動的に認められるわけではないため、在籍校へ事前に確認してください。
登校渋りが続くと、親は知らないうちに疲れていきます。だからこそ必要なのが、「親以外の大人につなぐ」ことです。学校、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育支援センターなどに相談し、家庭だけで対応しない仕組みをつくっていきましょう。
子供の状態がこんなときには早急な行動を…
・強い腹痛や頭痛を訴える
・睡眠や食欲が大きく変化した
・家でもほとんど笑わなくなった
・好きだったことをしなくなった
・強い不安や恐怖を訴える
・自分を傷つけるような行動がある
・「消えたい」「死にたい」などの発言がある
・いじめを疑う言動がある
といった場合には、登校だけの問題と考えず、直ちに相談してください。特に自傷や希死念慮など、命に関わる発言がある場合は、登校の可否よりも安全の確保を最優先です。子どもが相談できなくても、親が先に相談することで支援は始められます。

「学校に行きたくない」と言われたとき、親が最初にすべきことは、子どもを学校へ送り出すことではなく、子どもと家庭がこれ以上追い詰められない方法を探すことなのかもしれません。仕事も、子どものことも、どちらかを完全に犠牲にしなくていい。利用できる制度や相談先を探しながら、その家庭に合ったペースで対応していきましょう。
【相談窓口】
■都道府県別に相談窓口を確認でき、虐待・いじめ・性被害・妊娠出産・心の悩みなど幅広い相談先が掲載されています。
こども家庭庁|相談窓口の総合案内
■子どもの様子が気になる、心の健康や病気が心配な時に。
厚生労働省| こころの相談窓口
■いじめ などの電話相談窓口
法務省|こどもの人権110番
【参考】
文部科学省「不登校対策(COCOLOプラン等)について」


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