COLUMN[ 続編 ] 鬱(うつ)による不調を改善? 「TMS治療」体験談

コロナ渦でメンタルヘルスも問題視される昨今。安定を感じづらい時代で様々なストレスに晒されている方も多くいるかと思います。
「自分は大丈夫!」と思っていても知らずのうちにメンタルが落ちていることもありますね。コロナ渦でお仕事を失った人、環境が変わり精神的に辛い思いをしている人、はたらく人々には常に多くのプレッシャーがかかっています。気づかぬうちに鬱になっているということも。前回記事で取り上げさせていただいた「TMS治療」について、実際に受けられた方に体験談を伺うことができました。(※治療風景はクリニックに特別に許可を得てモニター撮影させていただいております)

― 「TMS治療」を受けられたきっかけはどんなことからですか?

出産後、仕事に復帰してからやることや考えることが増えて脳がパニックを起こしたせいか、物忘れや脳の違和感に悩まされたんです。タスクが重なると脳がざわざわとしだすような感覚・・・業務を翌日に持ち越すと忘れるし、「やり残したことは?」と不安で眠れない夜も続きました。
今までは普通にできたことができず、「普通ではない・・・」と感じた時に脳外科を受診してみたんです。でも何も異常がなく・・・。処方された入眠剤を服用して凌いだのですが、将来設計やライフスタイルから薬に頼るのも最小限にしたいなと考えました。それでも気になったので検索し、「産後うつ」があることを知り、心療内科を受診することになったのがきっかけです。

― 治療の流れを教えてください。

まずは「初診予約」を行い、精神科医による問診を受けました。症状を伝えたり、簡単な質問に答えたりしましたね。授乳や今後のライフスタイルもお話しした結果「TMS治療」を受けてみることとなりました。どのプランで通院するかもここで事前に決めます。ちょうどコロナの影響もあり在宅勤務が多い時期だったため、平日の午前中に集中して通うプランに決めました。治療回数は30回を目途とのこと。通勤時間を通院時間に当てる想定をすれば良いかなと考えました。
初回の予約をし、初回はキャップを被って計測をします。その後お試し治療を挟み通院が始まる流れです。10回目で経過診察、20回目で経過診察、30回目最終診察と3回ほど医師の診察があり終了という流れでした。

▽初回施術参考資料

画像出典:東京横浜TMSクリニックWEBサイト

― 何のために計測を行うのでしょう?

電流を流すターゲットとなる「DLPFC」(背外側前頭前野※)を探すための計測だそうです。頭部の眉間から後頭部の出っ張りと、耳から耳を結んだところを起点に計測してもらいました。スイミングキャップのような帽子に計測結果を記し、次回からの目安に使うようです。少しでも外れると手がピクピクと動いたり、目にピリッと刺激が来たりします。これはポイントがずれている証だそうです。
※専門家補足 : 刺激ターゲットはDLPFCですが、その時の刺激頻度を決めるためにM1(第一運動野)を刺激します。右手の親指が刺激で2回に1回くらいピクつく刺激強度を求めます。この値を目標に120%を目標にして強度設定します。

症状や病気によって、治療ターゲットや刺激方法が異なるとのことで、私は左のDLPFCという認知機能に関係している場所に、特殊な高頻度刺激を行う方針となりました。

▽施術風景(イメージ)

― 治療の効果や「メリット」と感じたことがあれば教えてください。

まず治療の効果については、効果を感じるまでの期間が早かったこと。30回を勧められていたので長くなると思いましたが、10回目でだいぶ脳の違和感が改善したのを感じました。
効果が無かったり続けられなかったりしたら途中で辞める選択肢もありましたが、この効果の実感具合も継続して通院できたきっかけだったように思います。「ここで辞めてもいいかな・・・」と思いましたが、先生曰く効果の実感があった方は30回行うことで効果が持続して再発率が低下するといわれているとのことで、信じて継続してみることにしたんです。
私の場合、治療時間は1回3~5分程度だったので、手軽さも「メリット」と言えるのではないでしょうか。
あとは、やはり「薬を使わない」ということが大きかったように思います。授乳中や体質的に影響がある方にとってはもちろんですが、脳の働きを薬で調整するってとても身体(臓器)に負担がかかりそうで怖かったんです。症状や体質も様々なので、なるべく薬に頼らず治せると良いですよね。

― 反対にデメリットと感じたことや注意したほうが良いことなどがあれば教えてください。

前提として「自費診療」にはなるので費用がかさむことです。私は3,300円/1回でしたね。継続が大事な治療なので、続けられないと意味が無いかと思います。
あとは禁忌事項の他には電流を流す治療の為、電磁波が乱れる可能性があるスマートフォンなどを操作することができないことですかね。私の場合は一瞬で終わるので外を眺めて考え事をしていましたが、長くなる方は本などを持っていくと良いかもしれません。
そして先程お話しした電流を流すポイント(DLPFC)が外れると地味に不快なことですかね(笑)手がピクピクと動いたり、目にピリッときたり・・・。施術前に何回か確認してもらえるので、ずっとではないのですが1発だけでも地味に不快です。

― 治療を通して感じたことや感想があればお聞かせください

「うつ」は心の病気と思っていて、嫌なことがあったりするとなるという漠然としたイメージでしたが、その原因が脳の血流に関係があることを今回初めて知り、なんだか腑に落ちました。元々血の巡りが悪いという自覚はあったので、こんなところにも影響が? と。
産後の女性の忙しさは良く耳にしますし、キャパシティに関しては個人差があり何とも言えないですが・・・私の場合は母親という仕事にプラスして一社会人としての仕事が上乗せされた瞬間にキャパオーバーを迎えた気がします。
何が原因になるかは人それぞれですが、原因のわからない不調に悩んでいる人、あまりゆっくり症状と向き合う余地がない人、特に仕事との両立を考える人には是非選択肢の一つとして知ってもらいたい治療だと感じました。

― クリニックの様子や通い方について教えてください。

通院の仕方はライフスタイルによって合わせられます。私の通い方は違いましたが、短期集中治療などは、1回目の施術と2回目の間を1時間程開けなければならないそう。(30分ほどでも大丈夫と一般的には言われているようですが、こちらのクリニックでは1時間を目安にしているようです)。
今回通ったクリニックではWi-fi、ドリンク、マッサージチェアが完備されていて、PCや本を開いてゆっくりとされている方をよく見かけました。待ち時間に仕事をする人が多いのだとか・・・時代ですね。

― 待ち時間にもお仕事、気持ちはわかります。現代人ならではですね。貴重な体験談をお話いただきありがとうございました。


今回ご協力いただいたクリニック

東京横浜TMSクリニック|こすぎ神奈川院
※「TMS治療」には医師の診断が必要です。専門家の指示のもとにご判断ください。

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MAHO

小学生の子供をもつ、働くママ やんちゃ盛りの子供の世話でてんやわんや 最近始めた家庭菜園にはまり中

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