社内のママ社員から、「働くママに優しいサービスがあるらしいよ!」と紹介されたのが、ライオン株式会社の新価値創造プログラム「NOIL」から事業化したサービス『ご近所シェフトモ』。なんでも、近所のお店に夕ご飯をお任せできちゃうらしいのです。
起案者の廣岡さんに、サービスに込めた思いや働くママの思いなどなど伺いました。
昭和のご近所付き合いのような安心感
― ご近所シェフトモは、近くのお店に夕飯をお願いできるテイクアウトサービスとのことですが、普通のテイクアウトやその他のデリバリーサービスとの違いは何でしょうか?
違いとして、週単位で注文できるところがあります。
私もデリバリーはよく使いますが、どちらかというと、デリバリーサービスはその場で思いついてスポット的に使いますよね。
シェフトモは前の週に翌週の夕飯の注文をするので、料理というタスクを前の週に終わらせてしまうといった感じで計画的に使われます。なので、使われるシーンが違うと思っています。ちなみに、平日5日間に利用できるサービスですが、頼まない日があっても頼まない週があっても大丈夫です。
もう一つは、近くにある頼りになるお店を見つけられることです。デリバリーサービスの楽しさは、プラットホームの中にあるたくさんのお店から選ぶことがあると思います。
ですが、その分顔が見えない不安や、調理場の衛生環境やどんな人がどんな食材を使って作っているかが見えづらいことがあると思います。
シェフトモの場合は、ご近所の地元に密着したお店がほとんどなので、作っている人の顔が見えますし、受け取りに行ったときに「この前のあれが美味しかった!」とコミュニケーションが生まれたりもして、昭和のご近所付き合いのような安心感があるかなと思います。
画像出典:ご近所シェフトモ
― お店とのコミュニケーションの場があると「あれが美味しかった」「実はこれが苦手」なんて話もできそうですね。
お客さんとお店の間で自然と「カレーが辛口だと子供が食べられないから、甘口にしてほしい。」「そしたら、ルーだけ分けておきますね。」みたいなやり取りや「実はこの魚が苦手なんです。」「じゃあ、鮭にしておきますね。」みたいなことが起こっています。
なので、システム上の献立では『焼き魚』「煮魚」という表記にしているお店もあります。基本のコンセプトが「お店おまかせ」というスタイルなんです。お母さんが冷蔵庫の在庫とスーパーのお買い得なものを組み合わせて作る家庭料理の発想と近いかなと思います。
― 特にこの時期に、お店の人とコミュニケーションが取れるということは、サービスの付加価値として大きいのかなと思います。
「お疲れ様」「今日暑いね」とか、「季節のもの入れておいたよ」みたいな、ちょっとした一言があると嬉しいですよね。そこが、スーパーやデリバリーにはないものかなと思います。
もっと越えていきたい、もうひとつ新しいことをやりたい
― 2019年に開催された、新価値創造プログラム「NOIL」から事業化したサービスとのことですが、廣岡さんは前から新規事業をやりたいと思っていたんですか?
そうですね。私は、衣料用洗剤部門のマーケティングで10年くらい商品開発を担当していました。開発をすることは好きで、洗剤部門でも新しいことへの挑戦はできましたが、その挑戦の範囲がお洗濯の範囲しかできないんですよね。
マーケティングなのでお客様の声を聞く機会が多かったのですが、お客様は洗濯に限らずいろいろな生活課題を持っています。私も「こういうこと出来たらいいな」とアイデアは出てくるのに、仕事の場ではお洗濯のことでしか出せないという業務範囲の壁みたいなものがありました。それをもうちょっと越えた仕事がしたいなという気持ちでいたときに、「NOIL」のプログラムが始まったので応募をしました。
― いざ応募をするとなった時に迷いや不安はありませんでしたか?
ありました。〆切ぎりぎりまで悩んでいました。もともとの開発のチームが嫌いなわけではなかったですし、会社の中では行きたいと希望の多い部署にいさせてもらっているのに、自ら出ていくことに少し勇気は必要でした。
ただ、最初の2~3年の時と比べて、自分として成長のスピードが落ちているように感じることもあり、もっと越えていきたい、もうひとつ新しいことをやりたい気持ちが強かったです。
― 応募されたときの周りの反応はいかがでしたか?
昔からアイデアコンテストのようなものはあったので、社員がそういった企画に応募すること自体は社内で浸透していました。ただ、「NOIL」は提案したテーマが採用された人は異動して専任として取り組むという決まりだったので、本気度が違いましたね。1期生だったので、上司は不安だったんじゃないかなと思います。(笑)
― NOILには100件以上のアイデアが出されていたとか…。
会社の技術を活用するといった延長線上で考えずに、自分が本気でやりたい事業を提案することがプログラムのミッションだったので、私以外の提案も飛び地みたいなアイデアばかりでした。でも、それぞれに原体験というかエピソードがあって面白かったです。
あとは、20代の応募者が多かったですね。その中では年齢が上の方だったので「若者には負けられないな」という気持ちでいました。
画像出典:ライオン株式会社
チームを引っ張るためには、情熱が必要
― 2019年の「NOIL」で事業化が決定して、サービスの正式スタートが今年の2月ですね。
当初の思い描いたものに対して、コロナの影響はありましたか?
事業を推進する上では、追い風でした。コロナの前だと、お店側に断られる理由として、テイクアウトに対応していないことやテイクアウト用の容器を置くスペースがないことがありました。今は営業をしていて一切そういうことは無いので、営業のハードルは下がっていると思います。
―廣岡さんのnoteで、飛び込み営業をした先で販売までやったこともあると見て、すごく熱量のある方だなと思っていました。
前の仕事も好きでしたし、全力を注いでいたつもりでしたが、自分の中から湧き上がってくるものと会社での役割として担当する業務とでは、全然違うんだなと今感じています。
「NOIL」が立ちあがるのに併せて、それをサポートするメンバーの部署もできました。サポートメンバーは他の案件も兼任していて、他にも副業として入っている社外の人やインターンの学生など色々な人が集まったチームでやっています。色々な人がいる分、自分がやる気を失ったら周りのメンバーもやる気を失ってしまうので、自然に自分がやれることはやりたいという気持ちになりますね。
― 色々な人がいるチームをまとめるためにも熱量というか、情熱が必要なんですね。
今あるもので満足していないから共感してもらえる
― 廣岡さんのTwitterでは、「うちの近くにも参加するお店が増えればいいのに!」といった声が来ていますね。
需要と供給でいうと、需要の方が膨らんでいますね。料理自体は嫌いではないけど、平日に家事としてやる料理は大変ですよね。ミールキットやデリバリーもあるし、スーパーのお惣菜も充実しているという意見もあると思いますが、その選択肢ではまだ足りていないというか、今あるもので満足していないから共感して頂いているのかなと思います。
― スーパーで買ってきたお惣菜を食卓に並べるのとお店の人が作ってくれた料理を出すのと感覚が全然違うことが面白いですよね。
そこは、結構女性的な観点だと思っています。男性に言われたのが、例えば、スーパーで買ってきたコロッケとお店で作ってもらったコロッケと「コロッケはコロッケでしょ」と。それだったら、スーパーの方が価格が安いよねとなってしまったり。
― 値段の話じゃないんですよね。
そうなんです! そこが社内で説得するときに大変でしたね。
お母さん忙しそうだけど、楽しそうに仕事していたな。
― もともと料理が苦手で、近くのお店に「我が家の夕飯を作ってくれませんか」とお願いしたとのことですが、当時はお店の方もびっくりされたんじゃないですか?
エピソードとしては驚かれるんですが、「これ、すごいですよね。家で作るとこうなっちゃって」とか「食材は届くんですけど、使いきれないんですよね。」みたいな話の延長で「作ってくれませんか?」というノリでしたね。地元のお店だからこそ話しができたのもあります。
―感覚的に、魚屋さんで一匹買ってさばいてもらうのと近いかもしれませんね。
自分では一匹さばけないけど、それをお魚屋さんの方でお刺身にしてもらうみたいな。
近いかもしれないですね。あとは、余った料理を包んでくれるお店もありますよね。
その感覚の延長というか。なので、夕飯をお店に頼んだことを驚かれますけど、そんな大きなことをやった感覚ではないですね。
― 私も両親が共働きだったので、母親が仕事をしながら料理をするのは大変そうだなと見ていました。廣岡さんが子育てをしながら働く上で、大事にしていることはどんなことでしょうか?
子供は女の子なんですけど、将来働くことを楽しんで欲しいなという思いがあります。自分自身が今、好きなことを仕事にさせてもらっていますが、それって中々ないことだと思います。
子どもにもそういう仕事に出逢ってもらえたらいいなと思うので、私が仕事を楽しそうにやっている背中は見せたいですね。「お母さん忙しそうだけど、楽しそうに仕事していたな。」という記憶になって、「私もそういう仕事を見つけたい!」と思ってもらえたら嬉しいですね。
― 今後のサービスの展望について教えてください。
まずは、お店を広げていくのが一番のミッションです。
お店を見つけていく上でお客様の方が情報を持っていたり、「コロナ禍でお気に入りのお店のことが心配」「自分以外の人がお店のことを知って、コロナの後も繁盛してくれたらいいな」と思っている方も多いと思います。
コミュニティ化やお店を推薦できるような、シェフトモらしい営業方法を模索しながら、いいお店をより多く見つけ、サービスも早く広めていきたいなと思っています。
― 廣岡さんご自身のこれからの働き方について、思い描いていることはありますか?
今、新しいことにチャレンジしていれば、今後も面白いことに出会えるんじゃないかなと思っています。
とにかく今を全力で楽しむことが、先々の自分の社会人としての価値になるし、いい仕事にも繋がっていくかなということで、今を頑張っていきたいですね。
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