今回お話を伺ったのは、2021年7月に女性活躍推進に取り組む企業の証である「えるぼし」の3つ星を取得した、株式会社電通国際情報サービス(ISID)のコーポレート本部人事部の今村さん。そして、取り組みの1つ女性のキャリア形成ワークショップに参加された、赤瀬さん・白川さん・横田さんの3名です。
女性の活躍推進に対して一体どんな取り組みをされたのか、参加された方がそれを通じてどんな考えの変化があったのか、お話を聞きました。(以下敬称略)
※「えるぼし」については、こちらの記事をごらんください。
多様性を活かす取り組みが、女性活躍推進につながった
― 2021年7月にえるぼしの3つ星を獲得されましたが、女性活躍推進のための取り組みはいつ頃から取り組んでいらっしゃいましたか?
今村: 2015年頃に多様性を活かしたダイバーシティに関するカルチャーを社内に創っていきたいということで、人事部を中心にダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを推進する方針が固まってきたのですが、そうした中で、ちょうど女性活躍推進法が成立した流れもあり、そういった面での推進もあわせて進めていこうとなりました。
女性活躍推進法では、数値目標の設定や行動計画の策定が必要だったので、3年間の行動計画を立てました。その時に、同時にえるぼしの認定を申請したところ2つ星の取得となりました。ですので、3つ星をとることを目標にその行動計画に沿った取り組みを進めていきましたが当初は、3年間を終えるときに目標がクリアできなかったんです。そこで、次の3年間の行動計画の活動期間では、改めて推進体制や進め方等も見直して、様々な取り組みを実行することでようやく今年3つ星を取得することができました。
― 取り組みとしては、どんなことをされているのでしょうか?
今村: もともとダイバーシティの取り組みからスタートしましたので、女性に特化した取り組みにするつもりはありませんでした。当時は3つの取り組みを掲げていて、1つ目は会社全体として、ワークススタイル変革を進めていくことです。これは対象を限定せず、会社全体で働き方を考えていこうという内容です。
2つ目はマネジメント層に対して、多様性を活かすスキルを高めてもらうための取り組みです。そして、3つ目が女性のキャリア形成支援を掲げた、ワークショップなどの実施です。
女性のキャリア形成支援のワークショップ
― お話に出た、女性のキャリア形成ワークショップとは具体的にどんなことをされているのでしょうか?
今村: ある階層の社員を対象に、自主参加制で実施しています。今年で3年目となりますが、毎回15人くらいの社員が参加し、1日目を実施後に期間を空けて2日目を実施します。具体的には、自分が今までやってきたことを振り返ったり、自分が働くうえで大切についていることを言語化しつつ振り返り、参加者同士でフィードバックして、シェアするということをしています。その中で自分の活躍できる場所がもっとあるのではないかと発見したり、今後のキャリアを考えるきっかけをつくるという枠組みです。
― ここからは、実際にワークショップに参加された皆さんにお話を伺いたいのですが、簡単にどんな業務をされているか教えてください。
赤瀬: 経営企画室のコーポレートコミュニュケーション部に所属していて、プレスリリースの発信やメディアリレーションなどを担当しています。私は中途で、入社して約2年になります。
白川: HCM(Human Capital Management)事業部でプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといった立場で統合人事システムを導入する業務を担当しています。私も中途で、6年目になります。
横田: コーポレート本部の人事部に所属していて、主に障がい者採用関連の仕事をしています。今村さんが担当されている組織開発プロジェクトにも参画しており、今回のワークショップについては事務局の立場としても参加しています。私は新卒で入社して、今年で10年目になります。
― 皆さんがワークショップに参加されたきっかけを教えてください。
赤瀬: 中途入社して半年でコロナ禍に突入してしまい、特に社内の人脈の広がりに限界を感じていたことがあります。また、この先のキャリアを描くにあたり、他の部署で働く女性の仕事に対してのモチベーションや、仕事の軸を知りたいと思い参加をしました。
白川: 年齢を重ねる中で周りからキャリアを考えなさいと言われることが多くなってきたことと、自身でもこれからのキャリアを考えようかなと思ったことがきっかけです。技術の分野ではそもそも女性が少なく、キャリアのイメージが沸いていませんでした。書籍で調べてみても、女性のキャリアというと管理職でバリバリ働いている方の紹介か、子育ての両立の仕方といった内容が多く、参考としたいイメージとは異なっていました。そこで、ワークショップでいろいろな女性社員の意見を聞きたいと思い参加をしました。
横田: 私は昨年末まで別の部署にいたのですが、そこには同年代以下の女性社員が多く、自分より年上の女性社員は身近にいない状態でした。
このワークショップはある階層以上の方が参加されているので、その方たちがどんな働き方をしているかお話を聞きたかったのと、自分自身もキャリアに悩んでいた部分があったので参加をしました。
― 実際にワークショップに参加されて、印象に残っていることはありますか?
赤瀬: 担当している業務が違ったとしても、同じように感じていることや悩みがあるんだなと思いました。自分が一人で悩んでいたことも共感してもらえたりして、一人じゃなかったんだなということが分かりました。
白川: 言葉ではないのですが、『キャリア』という言葉にとらわれていたんだなということに気が付きました。キャリアというと、立場が上がらなくてはいけないと思っていたのがふっと消えたというか。
あとは、ワークショップの中で自分の大事にしていることを2日にかけて深堀していくのですが、2回目に改めて深堀していく際に、ある参加者の方が「1回目の時にかっこいい言葉を使ってしまっていて、かっこつけていました」と言ったんです。それが、私にもスッと入ってきて、これまで私もキャリアに対して、かっこよく見せようとしていたのではないかと気づくことができました。
― かっこつけていたと自覚することで、『キャリア』という言葉にとらわれていたことからぬけだせたんでしょうか。
白川: それもあると思います。キャリアは別にかっこいい事ではなく、私にとっては、これができるようになったとかこれに挑戦できたとか、小さいことの積み重ねを楽しむことが必要だと分かりました。
横田: ワークショップでは自分の価値観を見つめなおし内省するワークが多かったのですが、私にはそのワークがとても大変でした。参加している方の意見を聞く事で少しずつ思考が動き出し少しずつ自分の言葉で話せるようになり、その時に、今まで自分のことを振り返っているつもりでも、問題をきちんと言語化できていなかった事に気がつきました。
日々目の前の業務を優先する事でどうしても見落としがちになってしまう自分の価値観や今後の展望について、ワークショップに参加した方々とシェアし、刺激し合えた事がとても印象に残っています。
ワークショップを通じて変わったこと
― 参加されて、ご自分の中で変わったなと感じることはありますか?
赤瀬: 結構変わったと思います。今までの自分だと、大きな変化を起こせないと「全然変わってないじゃん!」と感じることが多かったのですが、ワークショップの後は、小さくても着実に一歩ずつ前に進んでいくことを感じられるようになったいうか、自己肯定感が高まりました。ワークで実際に作った実現したいことに向けたロードマップに沿って、今はそこを一つ一つ進めていけている気がします。
他の参加者の方で、私と同じように転職をされてきた方が「会社への心の距離感がちょっとあった。業務以外の部分でも、積極的に関わりを持って行く気持ちが少し足りなかったかもしれない」とお話されていて、「そうだよな」と思いましたし、その部分でも意識が変わった気がします。
― お話を聞いていて、赤瀬さんの参加するきっかけでもある、社内の人脈の広がりという点が解消されたのかなと思いました。
赤瀬: そうですね。それぞれの仕事のお話をしっかり聞くことができて世界が広がりましたね。
― 白川さんの参加されたきっかけに、管理職でバリバリ働くや子育てと両立というのではないキャリアの形という点があったと思うのですが、その意識の変化はありましたか?
白川: キャリアに対する考え方がかなり楽になったというか、肩の力が抜けました。仕事をツールではないですが、自分の生活を充実させる何かにできたらと思いますし、もっと仕事も楽しんで、私生活も充実させていきたいなと大きく意識が変わりました。
― 皆さんワークショップを通じて、様々な気づきや意識の変化をされたんですね!
会社としてと、一人一人が活躍することをつなぐ難しさ
― ワークショップを開催する上で苦労したことや課題はありましたか?
今村: 会社として実現したい状況と実際に社員一人ひとりが活躍するということには若干距離があったり、違う文脈があったりすると思います。そこをどう埋めていけばいいのかが進めていく上では悩ましいです。
えるぼしの3つ星取得においては、女性管理職の割合が増えたという結果があります。しかし、管理職になることが活躍かというと、それだけではないのではないかと思いますし、そう考えている方も多いと思います。
参加者の方々が自分なりに活躍や幸せを定義して成長していくという場にすることと、会社として目指している姿をどうつないでいくかが一番難しいところですし、まさに今も悩みながら活動をしています。
― 取り組みをしていく中で会社全体に対して、変化は感じることはありますか?
今村: 明確にコレというのは難しいのですが、女性社員向けのワークショップと並行して、マネジメント層に対するワークショップを行っています。
女性に限らず、働いている人は考え方だったり、大切にしている価値観など多様だという前提や、その多様性を認めた人材組織運営していくによって、組織としてのパフォーマンスが上がったりメンバーの関係性も高まることを実感してくれてる方が多くなったと感じていますね。
これからの働き方
― ワークショップを経て、これからの働き方やキャリアについて、考えていることはありますか?
白川: 3つあります。1つはキャリア形成の面で、『キャリア形成』という言葉が分かりづらくしている気がして、私のように立場が上がることだけがキャリアと考えている方が、男女限らずいると思います。そこがうまく浸透していけばいいなと思っています。
2つ目は、まだ世の中には女性が前に出ることにネガティブな印象を持たれてしまう場面が少なからず残っていることがあると感じているので、それが無くなっていけばいいなと感じています。
3つ目は子育てに関することです。うちの会社は子育てをすることに対するケアは充実していると思いますが、男性自身が育休などをとることにまだ抵抗があったりするのかなと感じるときもあります。今後、取得しやすい雰囲気や体制ができていけばよいかと思います。
私自身は、今はワークショップの中であった価値観を大切にし、仕事を楽しめるものにする事が大事だと思っています。周りから目標とされるような仕事への向き合い方をしたいと考えています。
横田: 今回のワークショップで学んだ内省する機会を、今後も定期的に持ちたいと思っています。自分の価値観を見つめなおし、それに対して無理なく働くスタイルをチーム内にも広げ、より働きやすい場作りをしたいです。私がそのきっかけになれるようチームメンバーとの対話を広げていこうと思います。お互いを知り価値観を認め合う事が、より業務の効率化にも繋がるのではないかと思います。
私は業務の中で他の部署の方と関わる機会も多いので、横のつながりを意識しながら多種多様な方と働く事を楽しめたらいいなと思っています。
赤瀬: まずは、自分の広報としての専門性をどんどん高めていきたいなと思っています。
全く違う業界に飛び込んできたので、今までの変化を恐れずに飛び込んでいく姿勢は続けていきたいです。私には今7歳と5歳の子供がいますが、メリハリをもって、仕事もプライベート充実させながら、自分なりのバランスをうまく考えていければと思っています。ワークショップの中で、今後、不確実性が高まっていく中でのキャリア形成は変化に柔軟に対応することが求められてくるというお話もあったので、そういうところも大事にしたいと思っています。
― お話を聞いて、私も実際にワークショップを受けてみたくなりました! 本日はありがとうございました。
仕事もプライベートも充実させたい!と思って最近転職 インドアのアウトドア派 面白そうと感じたら、まず行動がモットー
TUDOI HOUSE
リモートモデルハウス公開中集中するための環境づくり、そして身体への負担を無くすことは人類共通の必須課題。最新のスツール(椅子) を見つけ…
ワークスタイルにオフィス出社とWEB会議のハイブリッド型が増えたことと、リモワラボ盛況につき、スペースが足りな…
ワークスタイルにオフィス出社とWEB会議のハイブリッド型が増えたことと、リモワラボ盛況につき、スペースが足りな…
寒さが増す今日この頃・・・デスク回りのお悩み事一番と言っても過言ではない・・・
元から猫背だったのが、より美しい猫背になりました・・・。 そんな時に、発見したのが「おうちで健康」をテーマに…
その他のINTERVIEWの記事
[ 働くママがぶち当たる「〇〇の壁」シリーズ ] 両立が大変? 働くママ(パパ)に聞いた、夏休みの乗り切り方とは?