INTERVIEW一人ひとりが自分の幸せを考えて、選択をできたら エバーセンスの働き方

リモートワーク・在宅ワーク・働き方改革…
近頃たくさん聞くようになった言葉たち。実際にはたらき方が大きく変わった人もいると思います。では、他の人はどんな“はたらき方”をしているのでしょうか?

ある日、出会ったこちらのnoteが今回の取材のきっかけでした。
今回は、妊婦さんの2人に1人が利用している、アプリ「ninaru」の企画・開発をしている株式会社エバーセンスのコーポレート真辺さんにお話を伺いました!

― 本日はよろしくお願いします! 今日はご自宅ですか?

よろしくお願いします。はい。今は自宅です。

― まずは御社のサービス・事業について教えてください。

弊社は妊娠・育児中のママやパパ、ご家族向けにアプリやWebサービスを提供しています。
企業としては、今年1月で9期目に入りました。

― ninaruは妊婦さんの2人に1人が利用しているということですが、うちの社員にも利用者がいました!

ありがとうございます!
妊娠中は(赤ちゃんが)おなかの中にいて、目に見えないですよね。病院の妊婦健診も2~4週間に1度なので、その間は毎日赤ちゃんがどうやって成長しているのかな? と不安に思うママが多いです。ninaruは、(赤ちゃんが)こういう風に成長しているよというお知らせや、ママへのひとことなどが届くサービスです。
実は、私もエバーセンスに入る前に使っていました。(笑)

― コロナウイルスが流行して、妊婦さんは特に外出しづらかったり・気軽に人に会って相談したりというのも難しいのかなと思います。

そうですね。ninaruも使用してくれる方が増えていて、多くの方に価値を感じていただけているのかなと思います。

はたらく人の幸福度を上げる

― 御社のビジョンについて教えてください。

『家族を幸せにすることで、笑顔溢れる社会をつくる』を掲げています。ビジョンの中でも2つの視点がありまして、一つはninaruシリーズをはじめ家族を幸せにするプロダクトをつくること。もう一つは、働いている私たち自身が幸せな家族生活を送るということを大事にしています。

― 会社のビジョンとして企業の成長戦略を掲げることが多いと思いますが、家族や働く人に視点を置いたビジョンを持たれているのがステキですね!

ありがとうございます!
もともと代表の牧野は、日本には幸せそうに働いている大人が少ないのではと感じていたそうです。実際、世界的にも日本人の幸福度は低いという結果が出ています。では幸福度を上げるにはどうすればいいのかと考えて、「幸せな働き方をつくっていきたい」「働く大人が幸せなら、子どもなど関わる家族の幸せにつながるのではないか」というところから、組織づくりもビジョンを実現するための大切なポイントとなりました。

人によって違う・1人の人生の中でも違うから選択肢が必要

― 今、エバーセンスの社員の皆さんは、どんな風に働いていらっしゃるんですか?

今は、リモートワークも選択肢の一つとして取り入れているので、(リモート・出社)どちらの方が良いものづくりができるのか、本人たちの判断に任せています。
緊急事態宣言もあり、現在は週1~2日出社の人が多いかなと思います。

― フルリモートや原則出社などは聞きますが、その中間というのは珍しいですね。

できるだけ選択肢は多い方がいいという思いがありまして。
例えば、仕事と家庭どちらかではなく、どちらもとりたい・どちらも選択できることが幸せに繋がるんじゃないかと、出社もリモートもどちらも選べて状況に合わせられるのがいいのかなと思っています。
人生を考えても、出社がいい時もリモートワークがいい時もあると思うんです。例えば、子供が生まれたときとか。タイミングについては個人差があるので、選べることがいいんじゃないかなと思っています。

その場しのぎではなく、いいものづくりのための武器に

― リモートワークは以前から考えられていたのですか?

いえ、コロナの前は対面を推奨していました。創業当時にかなり自由に働いていた時期があって、なかなかいいプロダクトができなかったという背景があり、代表の思いもあって基本的に出社して仕事をすることになっていました。

そのため、新型コロナウイルスによって強制的にリモートワークとなった時に、社内での疲弊が大きく。これまでやったことがないことをやったので、みんな慣れていなくて。
noteでも書かせていただいたんですけど、最初の2~3か月はコロナが落ち着いたら対面に戻ると、その場しのぎでやっていたのが疲労感を生み出していたのかなと思います。

― 確かに弊社でも、「とはいえ対面に戻るかな?」という空気が、だんだんと変わっていきました。

そうですよね。途中から、「この流れは辛いし、前向きにリモートワークを選択肢にできて、いいものづくりに向かえる体制になった方が確実に強い組織だよね」という認識を持って、はたらき方をつくっています。

― その判断をされたのは、いつごろですか?

7月くらいだったと思います。

― 疲弊が大きかった時期に、社員の皆さんの中から「こんな制度が欲しい!」といった要望はありましたか?

はたらき方のアンケートを取ったときに、チーム外のコミュニュケーションが取りづらくなった・他のチームの仕事が見えづらくなったという意見が多くありました。

― その要望を受けて何か新しく始めたことはありますか?

全体週報を始めました。各チームごと、プロダクトごとに、今週こんなことやったよというのを見える化しましたね。
(オフィスに出社していると)何となく、「あの辺に熱量があるんだな。」「新しいプロジェクトが始まって活気があるな。」というのが分かるんですけど、(リモートだと)自分の関わっているプロダクトだけになってしまって。自分の関わっていないことに意見も言いずらくなってしまったり、人ごとになってしまいがちなので、そこを解消したいなと。
あわせて、他のプロダクトでやっていることを活かせるので、視点の共有という意味でも週報を活用していきたいなと思っています。

― 確かに。自チーム以外の様子は見えにくくなりがちですよね。逆に、なくなった制度ややり方を変えた制度などはありますか?

パワーランチというランチ補助制度があったんですが、対面の打ち合わせで使う制度なので、結果的に利用する人は減っていますね。制度の見直しが必要かなと思っているところです。
他には、コロナに関係ないところで見直した制度などはありますね。

― そうなんですね!

もともと弊社は、制度やルールをミニマムにして、カルチャーで柔軟に対応していこうというところがあって、制度という意味ではそんなに(変化が)ないですね。

― 真辺さんのような立場だと、メンバーの皆さんの意見のキャッチアップが難しかったりしませんか?

そうですね。コーポレートというよりマネージャーの中で、メンバーの様子をキャッチアップしにくいという意識がありました。
もともと、弊社は寄り添い型というか、声をかけたり・様子を見たり察したりというのが自然にできていたんです。しかし、リモートでできなくなることで、マネジメントコストがかかってしまい、マネージャーが本来ものづくりに向かう時間を削られてしまうことに課題を感じていました。

自ら発信していくセルフマネジメント型とは

― noteで記載されていた、自ら発信していくセルフマネジメント型とは具体的にどんな取り組みをされていますか?

マネージャーが拾いに行くのではなく、メンバー自身がやっていることを報告したり、自分から相談しにいくことを姿勢づけるようにしています。これまで(マネージャーに)拾ってもらっていたところを、メンバーが発信して自発的にやっていくのをちょっとずつやっていて、今は(定着して)結構メンバーが自分でできるようになってきたかなと思います。

― 1on1をやったり、朝会・夕会をやったりみたいなことでしょうか?

1on1も今までは、マネージャーのフィードバックがメインだったんですが、それをメンバーの報告や相談をメインにしたり。チームによってやり方はいろいろなんですが、日報をやったりだとか。その中でもメンバーが自立的にやっていくという感じですね。

― 新入社員など、新しく入ったメンバーがなかなか馴染みづらい、難しいという声をきいたりしますが、御社ではその実感はありますか?

ありますねー。最初の導入が難しいなと思っています。他のメンバーの様子が分からないとか、どんな人なのかわからないとか。(入社した)本人たちからの声もありましたし、元々いるメンバーからもありましたね。そこは課題を感じています。
後は、仕事の進め方のキャッチアップが難しいねとなりました。そのため弊社の場合は、特に新入社員はしばらくは出社をメインにしようと決めました。
本人たちの成長のためにもなるし、お互いに(導入に)工数をかけすぎないで、いいものづくりに最短で向かえたらいいなと考えています。

― はたらき方という面で大きな変化はありますか?

これまではマルチタスクというか、個々がいろいろなプロジェクトに携わっていました。
それを、特化ではないですが、1つのプロジェクトであらゆる挑戦をして、目標を達成するまでやり切るという形に移行しています。
携わる(プロジェクトの)数を絞ることで、あれもこれもと思考を分断することが少なくなり、目標管理もしやすくなるので、個人の成長にもつながるかなと。
マネージャークラスだと、まだ、1日中打ち合わせということもあるようですが、メンバーは自分の仕事に集中できる形になってきているかなと思います。

― メンバーの皆さんの中に、今後もこのはたらき方を続けたいという雰囲気はありますか?

先日、社内アンケートを取ったのですが、リモートと出社と選択できる状況を続けていきたいというメンバーが多かったですね。
そのなかで、オフィスの移転も決まりました。週1、2日出社だと使わないスペースも出てきてしまうので、その費用をプロダクトへの投資だったり、みんなの給料に反映したいねと話しています。
メンバーの席を一部フリーアドレスにしたり、打ち合わせスペースを他社さんとシェアしたり、働き方に合わせてオフィスの使い方を考えていきたいなと思ってます。

これからの“はたらき方”

― 今後のはたらき方について、課題や展望を教えてください。

今やっているセルフマネジメントやプロジェクト型、後はマネジメントの仕方だったりを社内で共有して、できるだけいいものづくりに向かえるような取組みを引き続きやっていきたいです。
世の中には、いろいろなはたらき方やマネジメントのやり方があるじゃないですか。参考にはなるけれど、やっぱり自分たちの会社でやってみないと分からないというか。自分たちで挑戦しながら失敗しながら最適解を作っていきたいなと思っています。
メンバー自身が、自分たちのはたらき方を決められるというのが幸せに繋がると思うのでそれを実現できたらと思いながら日々もがいています。

― これから社会人になる人など、また新しい価値観をもっていそうですよね。

エバーセンス自体が家族をテーマにしていることもあって、現時点ではママ・パパ向けのアプリが多いんですけど、ママ・パパに関わらず家族って色々な形があるなと思っています。
それこそ、結婚していてもしていなくてもいいし、子供がいてもいなくてもいいし、血が繋がっていてもいなくてもいい、色々な家族の形があって。
(エバーセンスの)メンバーも結婚しているかとか、男女とかそういったものに縛られず、一人ひとりが自分の幸せを考えて、いろんな選択をできたらという思いが根底にあるので、これから入ってくるメンバーがどんなはたらき方がいいのか、聞いていけたらいいですね。
(そういう意見が)はたらき方のこれからの希望になるかなと思っているので、楽しみです。

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MINA

仕事もプライベートも充実させたい派。転職してデスクワークに励む毎日。やっと仕事も板についてきたかなぁ。

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